紙袋についているプラスチック製のハンドルは、現状ではほぼリサイクルできません
紙袋についているプラスチックのハンドルは、製品へのリサイクルはできていません
よく丈夫な紙袋に付いているプラスチック製のハンドルは、ハッピータックという商品名で知られています。素材はPE(ポリエチレン)です。ポリエチレンは本来はリサイクル可能な素材ですが、現在の日本の自治体のゴミ収集では可燃ゴミになるケースが多くリサイクルは困難です。

ポリエチレンのリサイクルは本来可能
ハッピータックは、ポリエチレンでできています。ポリ袋や食品包装に代表される最も身近なプラスチック素材のひとつ。
PE(ポリエチレン)は、本来はマテリアルリサイクルが可能です。
プラゴミとして回収されるのは容器包装プラスチックのみ
日本には「容器包装リサイクル法」という法律があり、家庭ゴミの6割を占める容器包装廃棄物を資源利用することが目指されています。この法律に基づいて、プラゴミの回収が行われているのですが、プラゴミとして出せるのはプラマークの付いた容器包装プラスチックだけです。
容器包装プラスチック以外のプラスチックをリサイクル回収している自治体もありますが、ごく一部のため例外的です。
紙袋に付いているハッピータックは、容器包装プラスチックではないため、プラゴミとして出すことができません。同じくPEでできているペットボトルのキャップは資源回収されるのに、ハッピータックは可燃ゴミになるというのは納得しづらいですね。
このようになっている理由は現在のところ不明ですが、おそらく容器包装以外のプラスチックが、全体から見れば少ないためです。
環境省の資料「容器包装以外のプラスチックの リサイクルの在り方に関する 現状の整理について」によれば、一般廃棄物全体に占めるプラスチックの割合は容積比で40.8%。そのうち容器包装プラスチックが32.0%、容器包装以外のプラスチックは4.2%です。
まず一番多い項目に的を絞って制度化するのは理にかなっているかもしれません。
ポリエチレンを可燃ゴミ処理した場合、どうなるか
ポリエチレンの化学式は(C2H4)nです。
C(炭素)が2つと、H(水素)が4つくっついたもの。
これを燃やしても、H2O(水)とCO2(二酸化炭素)しか出ません。
二酸化炭素の問題はさておき、ダイオキシンや塩化水素ガスなどの物質が出ないという点ではかなり有害性が低いプラスチック素材です。
プラゴミも結局燃やされている?
日本のプラスチックゴミのリサイクル率は84%と、世界的に見て非常に高い数字が知られています。しかし、プラゴミとして回収された容器包装プラスチックが、すべて「マテリアルリサイクル」に回されるわけではありません。
別の物に作り替えられるマテリアルリサイクルは、全体の23%。約6割は燃やされます。
こんなふざけた話があるかと怒る方もいるのですが、これには理由があります。
廃プラスチックのリサイクル方法には、以下の3種類があります。
- 1 マテリアルリサイクル:別の物に作り替える方法
- 2 ケミカルリサイクル:プラスチックを化学的に分解して材料に戻す方法
- 3 サーマルリサイクル:エネルギー回収する方法
マテリアルリサイクルは、ヨーロッパではメカニカルリサイクルと呼ばれます。イメージしやすいリサイクル方法ですが、マテリアルリサイクルには欠点があります。新品材料と同等の品質にはならないので、再生できる製品に限りがあることです。
ケミカルリサイクルは、ヨーロッパではフィードストックリサイクルと呼ばれます。熱やガスなどを使ってプラスチックを分解し、新品材料に戻すことです。さまざまな製品を作ることができますが、技術的に難しく、ほとんどの廃プラスチックはケミカルリサイクルされていません。
サーマルリサイクルは、ヨーロッパではエネルギーリカバリーと呼ばれます。そのまま燃料利用する方法です。実はプラスチックは製品化されたあとでも、化石燃料なみの燃料になるのです。
サーマルリサイクルをどう捉えるべきか
サーマルリサイクルはリサイクルではないという主張がありますが、ゴミ自体のエネルギーで焼却するのは、非常に効率がよいと言えます。
逆に、分別を徹底して生ゴミなど水分の多いゴミが集まったとします。燃やそうとしても、温度が下がってなかなか燃えません。そこに「燃料でありゴミでもある」プラスチックを投入すれば、両方片が付くということです。
発生した熱は回収し、発電や温水プールなどに利用されています。
PEは、特に燃料として優秀であることを示すデータがあります。一般社団法人プラスチック循環利用協会の資料「プラスチックリサイクルの基礎知識2019」によると、PE(ポリエチレン)の発熱量は、さまざまな燃料をしのいでおり、都市ガスや灯油よりも高エネルギーです。
画像出典:一般社団法人プラスチック循環利用協会「プラスチックリサイクルの基礎知識2019」
ハッピータックを付けるかどうか?
PE素材は、可燃ゴミとして処理されていても有害物質を出しません。また、焼却炉の効率アップに貢献します。ただし、化石燃料由来の二酸化炭素を出すことは事実です。化石燃料を燃やすことの是非に対する企業判断が問われるでしょう。ハッピータックには、他の素材では代替不可能な特性があるため、弊社ではお客様の要望によって使用しています。使用を検討している方は、本当にスペック的に必要かどうかでご判断ください。
本記事はあくまで一個人の主観に基づいて書いており、社会的なメッセージや啓発のつもりは一切ございません。
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