テキストは外注して作ってもらうこともできます。ギャラはそんなに高くありませんし、うまいプロに当たれば効率がぐっとよくなります。ただし、上手くないセミプロや素人に当たると大変なことになります。外注したテキストは、必ずチェックして指示を出しましょう。
餅は餅屋でしょ!……でもその人、本当に餅屋ですか?
文章を書くのは、想像以上に時間がかかります。本業に障るようならテキストを外注するのは、忙しい経営者やマネージャーにはよいことだと思います。
やっぱりプロは書くのが早いですし、Web専業で書いているライターならSEOの知識もあるので、ただ書き殴りましたというテキストは上がってきません。
Web用に最適化された原稿を上げてくるのが、Web業界の常識です。それをしない外注ライターは努力が足りないというか素人と言うか……そもそも仕事の半分を理解できてないような???
ただし、Webライターって素人が多いのも事実。
日本語は誰でも書けるので、入りやすい世界だからです。特に資格もありません。
その現状認識をちゃんと持っていないと、発注側はバカを見ることになります。
とても低品質な記事が、フツーにあがってきます
すみません。僕はこれ、経験があるから言っているのです。カフェで使っていたココナッツシュガーについて書いてほしいと発注したことがあります。
●テーマ:
ココナッツシュガーが合う食べ物
●目的:
テーマに沿った内容を紹介しつつ、当店でそれを販売していることを訴求する
●内容:
ココナッツシュガーとは(ブラウンシュガーの一つです。軽く説明してください)
ココナッツシュガーはどんな味か(ほろっとした柔らかい甘さ。不純物が多いため)
ココナッツシュガーが合う食べ物(料理の用途と、何かにかけて食べる食べ方を紹介)
ココナッツシュガーの有名なメーカー、ブランド(当店の使っているブランドを紹介)
当店のココナッツシュガーを使ったメニュー(店の紹介、シュガーの通販。購入リンク)
●対策キーワード:
ココナッツシュガー,合う食べ物(タイトルに含めてください)
●注意
エビデンスのないことは書かないでください(例 ダイエット効果など)。
「かけて食べる」に最もボリュームを割いてください。
こんな指示書を作って、写真と資料を添えました。
で、これが納品されました。冒頭だけお見せします。
・タイトル
体に優しいココナッツのブラウンシュガー。手軽な食べ方は?
・リード
疲れている時はなぜか甘いものが欲しくなりますよね・・。それに、甘いものには疲れを取るだけではなく、リラックス効果もあります。適度に甘い物をとることは悪い事ではありません。でも、白砂糖はできるだけ摂取を避けたいもの。そんな時は、是非ブラウンシュガーを上手に使ってみて欲しいです。当店で使っているココナッツシュガーは、体に嬉しいオーガニック。是非一度御賞味下さい!
タイトルだけで、これはやばいと思いました。
何がダメか、考えてみてください。いくつツッコミを入れられますか?
僕のこたえ:
1 (仕様無視)タイトルにキーワードが入ってない
2 (下手くそ)「それに、甘いものには……」の接続詞が文意をつないでない
3 (素人仕事)「是非」、「下さい」をひらいてない
4 (素人仕事)「事」、「物」のひらきが不統一
5 (素人仕事)ナカグロの使い方が間違い
6 (仕様無視)エビデンスのない前提が二つある
7 (素人仕事)是非と二回言ってる
8 (下手くそ)「是非一度御賞味」の漢字連続がセンスない
9 (素人仕事)二回目の「欲しい」はひらくのが正解
仕様を守っていないのも問題ですが、作文自体が素人なのがバレバレです。
プロとして最低限の知識、文章を書くことに絶対必要なコンプライアンスが欠如している場合は、枝葉末節を指摘しても根本的な改善は不可能です。
本文へのツッコミはいわずもがな、構成が甘く、情報精度が低く、文章が破綻してました。
これは珍しい例ではありません。
このレベルの文章があがってくるのが普通だと思ってください。
低品質な記事をノーチェックで公開してると、こうなる
外注したテキストが納品されたら、発注者はそのまま公開して終わりではありません。校正という仕事があります。不備や不適を見抜いて指摘する人がいなければ、上記のようなテキストをそのまま垂れ流すことになってしまいます。
忙しくて見てられないしSEO的に記事数が欲しいし、ちょっとくらい下手でもいいや……と思いたくなりますが、低品質なテキストは悪影響があると考えましょう。
会社の品性を貶め、取引の障害になる
第一にこれですよね。会社がバカっぽく見える。特に、エビデンス不明のことを言い切ったり、薬機法に抵触するようなことを書いていると、コンプライアンス的に危ない会社に見えます。
お取引を遠慮しようと思うお客さんだっているでしょう。
他人の権利を侵害していた場合に責任を問われる
外注して作成したテキスト上で著作権法違反を行っていたり、他人を誹謗中傷したりしていた場合、その責任は発注側にあると考えられるのが一般的です。
多くのライターは正社員ではなくフリーランスかアルバイトです。そのため、受注の構造はこうなります。
クライアント(発注)→制作会社(受注・発注)→ライター(受注)
ほとんどの場合、成果物の著作権はクライアント側に帰属し、ライターには権利がありません。そのため文責もクライアントにあると考えられます。
発注して公開したあなたに、損害賠償が求められる可能性がある。
制作会社には債務履行の責任があるので、「他人の権利を侵害しないテキストを納品します」という契約をクライアントとしているのなら、クライアントは制作会社に責任を問うことはできます(そういう契約になっているか確認しましょう)。
とはいえ、制作会社が損害賠償金を支払ってくれたとしても、それでただちにあなたの信頼が回復するわけではありません。
低品質な記事は、SEO的にも悪い影響を及ぼす
せっかくSEO目的でたくさん記事を制作しても、きちんとSEO対策されたテキストになっていなければ効果は薄いです。上のココナッツシュガーのテキストもそうです。
また、中身のない記事やコピペばかりの記事はいくらアップしても、Googleは評価してくれません。逆にスパム認定される可能性があります。検索順位の下落や、検索結果からの削除という重いペナルティが科せられると、Googleはなかなか許してくれません。
低品質な記事は、単純に社会に害悪である
とにかくキーワードだけ押さえて文字数を稼いで、上位化されているゴミ記事はたくさんあります。
どんな手法でも集客さえできればどうでもいい!というのは、端的に言うと詐欺師の発想です。
それをやって、2016年に謝罪会見を開いた会社がありましたよね。
ネットが、詐欺師が跋扈し成功する世界になってしまったら、まともな経営者はネットで食えなくなってしまいます。ゴミを出さないようにしましょう。
外注して良質な記事を得るためには、コントロールが不可欠
最低限の納品物チェックは行いましょう。それは発注者の責任です。
内容は正しいか、表現は適切か、どこから情報をひっぱってきているのか、他社からのパクリはないか。読まずにアップは絶対にダメ。
僕は実際に、他社のサイトからまるっとコピペしたテキストを納品された経験があります。自分で気づいて指摘したので公開しませんでしたが、炎上していてもおかしくないコピペでした。
テキストを外注する時に気をつけたいことは、別のページにまとめました。
→「文章を外注する時の発注のコツ」
以上、熱血野郎でした〜