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Webライティングでも使えるかも。井上ひさしの本『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』

ネットで集客するには、とにかく人に読ませることができる文章が書けないといけない。キーワードの検索母数がどうとかキーワード比率がどうとかの以前に、文章を書くってどういうこと?ということを教えてくれるのがこの本『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』です。

直木賞作家が「文学の蔵」を建てるため、ボランティア講義

久々に本を紹介します。最近読んで使えるかもと思ったのがこの本。
『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』(文学の蔵著/本の森/1998年)


この本は実際にあった、井上ひさしによる作文教室の講義録音をもとにつくられています。
「〇時間目~」と、順を追って進んでいく講義。「〇〇なんですね。」といった井上ひさし氏の優しく特徴的な語り口調によって、引き込まれていきます。まるで自分がその場にいた生徒のひとりになったかのよう。

井上ひさし氏は、昭和24年4月30日~9月27日まで岩手県一関市に在住し、この土地にお世話になったとして150日間の恩返しを決行。その一部として3日間のボランティア講義をされたそうです。生徒の作文添削に朝5時まで、1人5分計算でも6時間以上かけて取り組まれています。

ちなみにこの講義で集まった代金は、すべて「文学の蔵(一関ゆかりの文学者の資料館)」の建設に活用されたそう。
「150日間の恩返し」を自分に課しているのもすごいですが、こんなに全力になっていたら、他の長い時間を過ごした土地への恩返しは一体何をするつもりなんだろう?と思ってしまいますが……。
とにかく井上ひさし氏の真面目さと熱い想いで始まった講義でした。

文章を書く上で、いちばん大事なことは

井上ひさし氏がいちばん大事なこととしてあげたのが「自分にしか書けないことを、だれにでもわかる文章で書くということ」です。これができればこの作文教室は終了だというほどに重要とある。

ネットでは、読み手(検索ユーザー)はほとんどの場合が「書き手のファンだから書き手について興味がある」とか「面白い文章を味わいたい」ではなく、自分の知りたい情報を得るために検索をしています。
だから、相手の立場で書く、親切に書くということがとても大事。Webライティングも作文も根本的には同じですね。

井上工業所のトップライターである僕からすると……分かっているけど、難しい。あらためて気づかれる言葉が多かったです。詳しくは読んでほしいのですが、サクッとまとめると「読み手のことを最優先にして書く」のがコツ。自分本位ではダメということです。

参加者の作文の添削が面白い

講義の最終日に近づいてくるとに生徒が書いた作文を添削し、何人かに絞って朗読させる場面があります。良し悪しで選ばれた生徒ではなく、ランダムに選ばれた生徒です。
仲間たちの朗読」と題して、本の中でも長いページを使って実際の作文が紹介され、添削もそのままの言葉で紹介されています。僕はここに引き込まれてしまいました。
図や挿絵のない文庫本ですが、原稿用紙のような描写があることによって読みやすさが増します。直される前の文もそのまま載っているので、どう直されたか分かって間違いに気付きやすい。
中には出来の悪い作文もあるから尚更。勉強になりました。
さすが直木賞作家だなー。

具体的なアドバイスも詰まっています

「安易に○○○という言葉を使わない」「できるだけ短く書く」「前置きをダラダラ書かない」といった、読ませるためのアドバイスをいろいろ拾うことができます。

しかし、「主語をはぶいて書く」というところだけはWebではやらない方がいいかもしれません。
Webでは対人間と、対Googleの両方に向けて書かなきゃいけないので、人間ならわかることがGoogleにはわからないのです。主語がないと「何について書かれた文章なのか」が認識されません。

何ごともそうだけど、この本一冊でなんとかなるという話ではなくて、いろいろな本を読まないとダメですね。Webライティング以前に文章を書くのが苦手という人は、一度読んでみてください。
以上で〜す。

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