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著作物とは?Web用に資料や素材を探す時は、これだけ知ればOK

Webで素材を拾ってページを制作する時の、著作権に関する基本的なことをまとめます。すべての制作物が著作物として保護されるわけではなく、実は保護されていないものもあります。違いを理解して、法に触れないようにWebを運用してください!

著作物とは何か

法律では、著作権は次のように定義されています。

著作権法2条1項1号

思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものをいう。

これらは組み合わさっていなければ要件が成立しません
つまり、思想や感情そのものは著作物ではないし、表現であっても思想や感情を表したものでなければ著作物ではない。表現であっても、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属さないものは著作物ではない。

僕が電話しながらメモ帳にぐりぐりとやった落書きは、その時の感情を独創的に表現したものなので、立派な著作物というわけです。

具体例を見るとわかりやすいので、後で紹介していきます。

ちなみに、著作権は作った時点で作者に、自動的に権利が発生します。特許のようにどこかに届け出たりして権利を主張する必要はありません。

著作物にあたるもの

・小説、論文、脚本、詩などまとまった文章。その翻訳
・絵画、イラスト、マンガ、書、彫刻、現代アートなどの美術
・美術性のある表現がされた建築物
・踊りの振り付けなど
・映画、アニメ、ゲームソフトなど
・写真
・プログラム
・地図、図表、図面、模型など
・楽曲、歌詞
・新聞、辞典などの編集物

地図や辞典に著作権があるのは、意外に思われるかもしれません。両方とも事実の表現であって、「思想や感情を独創的に」表してはいないように見えます。
しかし、地図はその線の太さや色で海岸線や河川を表現したりしているので、その創意工夫が独創性のある意匠と考えられるようです。
辞典は、著作物を素材に編集したもので、データの羅列とは異なるので著作物になります。
ややこしい。
「電話番号帳」はデータの羅列なので、著作物ではありません。

著作物にあたらないもの

・作者の死後70年が経過しているもの
・データやグラフ
・事実を端的に示したもの
・アイデアやコンセプト

作者の死後70年が経過すると、自動的に著作権は失われます。かつては死後50年間は著作権が保護されていましたが、2018年12月に著作権法が改正されて70年へと延長されました。
このため、もう少しで使えそうだったものも、使えなくなりました。
たとえば、ピカソは1973年に亡くなっているので、本来なら2023年には著作権フリーになるはずでしたがかなり先まで使用できなくなりました。
著作権切れを待ってビジネスをしている人には大打撃だったでしょう。

勝手に使っていいのかクイズ14問!

ここから先はクイズです。具体例で考えてみましょう。著作権者が死後70年経っていない前提でお答えください。意外と外すかもしれませんよ!

1 モーツァルト作曲のCD音源を、自分の動画で流していい?

→×。勝手に使えない。
楽譜は著作権が切れていても、演奏家やレコード製作会社などに隣接著作権が認められているため。隣接著作権とは、譲渡や貸与や放送について取り決めることができる権利のこと。

2 他の会社のビジネスアイデアや、商品のコンセプトを使っていい?

→○。勝手に使える。
アイデアやコンセプトは著作物として認められないため。それは、頭の中にあるもので、表現される前の段階のものだからです。やられた方は悔しいでしょうが、アイデアやコンセプトはパクってOKということになります。

3 おしゃれな他社のWebサイトのデザインと、同じものを作っていい?

→×。勝手に使えない。
デザインは著作物として保護されるため。ただし、Webデザインについては業界的にかなり微妙と言われています。まるっきり同じボタン、メニュー、メインビジュアルなどの素材をダウンロードして、ソースを丸パクリすれば著作権法違反になりますが、「ちょっと似ている」「レイアウトが似ている」程度では権利を主張できないと言われています。

4 ある商品のキャッチコピーを、そのまま使っていい?

→○。勝手に使える(可能性が高い)
言語は人類共有のもので独創性は認められず、「短い文章」はその組み合わせに過ぎないと考えられることから、著作物ではないと言われています。コピーライターは釈然としないでしょうね。ちなみに、短い文章でも、詩や俳句は著作物として保護されます。

5 定期購読している業界誌に発表されたデータやグラフを、転載していい?

→×。勝手に使えない。
データやグラフそのものは著作物ではありません。しかし、お金を払っている人だけに公開されているものであれば、そのデータは配信者にとって商品です。これを勝手に使えば配信者の営業活動を阻害します。著作権法には違反しなくても、不法行為にあたる可能性があります。損害賠償を請求されるかもしれません。

6 小説や論文をブログに引用して、ウンチクを語ってもいい?

→○。ルールを守れば勝手に使える。
小説や論文は著作物ですが、著作権法では、引用について次のように取り決めています。「公正な慣行に合致」し「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で」なら使用してもOK。
また、公的機関の発表するデータは、「説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる」としています。
必要性があって、主従関係がはっきりしていれば引用できます。

7 作者不明の絵を表紙にした冊子を、コミケで売ってもいい?

→×。勝手に使えない
作者不明の作品でも、著作権利者は「どこかにいる」と考えられるので、勝手には使えません。作者不明の作品の場合も、発表から70年間は著作権が保護されます。

8ある施設の庭のデザインと同じものを、勝手に作っていい?

→×。勝手に使えない
庭園は、その表現が独創性があって美術的なものだと認められる場合には著作物となります。建築物も同じです。どこからが美術的なのかは感覚的な話なのですが、過去に庭園のデザインに著作権が認められた判例があります。自分の家の庭にするのは問題ありません。庭のデザインをパクって売ってはいけないということです。

9 YOUTUBEにアップされている動画を、自分のブログに埋め込みたい

→○。勝手に使える
YOUTUBEにアップした動画の著作権は、クリエイターにあります。ですが、YOUTUBEの規約には、動画の再配布を許可するとあります。動画配信者は登録している時点でこれに同意していると見なされるので、ブログやSNSで好きな動画を紹介してかまいません。
ただし、動画の埋め込み自体をコンテンツとして収益を得るとYOUTUBEの規約に違反します。損害賠償を請求される可能性があります。

10 「モナリザの画像」をWebサイトで使っていい?

→○。勝手に使える
レオナルド・ダ・ヴィンチは死後70年以上経っているので、絵画の著作権は切れています。また、絵画を忠実に再現するために撮影された写真は、表現ではないとされています。そのため、勝手に使えると考えられます。

11 「ミロのヴィーナスを撮影した写真」をWebサイトのビジュアルにしてもいい?

→×。勝手に使えない
彫刻を撮影した写真の場合は、撮影する角度、照明の当て方などによって表現が生まれることから、著作物として認められる可能性が高いとされています。

12 新聞をコピーして社内報を千部刷りたい。Webサイトに貼り付けたい

→×。勝手に使えない
実は新聞記事には著作権が認められているので、勝手に複製はできません。が、社会の公器を自称するメディアなので、ある程度の複製使用は許可されています。新聞の複製使用については、「新聞著作権協議会」という団体がルールを設けています。それによると、「1回20部以内のコピー、団体内部で使用、30人程度での共有」などと書かれています。
なんとなく、前提としているのが「印刷」なので時代に合っている感じがしませんよね。引用ルールに従えば、Webで掲載することは問題とならないようです。

13 料理番組で見たレシピを、自分のブログに掲載してもいい?

→○。勝手に使える
料理のレシピはアイデアであって表現ではないとされているので、勝手に使えます。料理研究家の人は、釈然としないでしょうね。料理されたものや、その写真は表現されたあとなので、著作権が発生していると見なされます。写真をパクるのはいけません。

14 昔流行ったテレビ番組をマネしてYOUTUBEにアップしていい?

→○。勝手に使える
テレビ番組の構成は、アイデアであって表現ではないとされているそうです。たとえば、TBSの「SASUKE」風のステージクリアゲームをマネしたり、日テレの「アメリカ横断ウルトラクイズ」みたいなのをやってもOK。ただし番組の題字はデザインなのでパクってはいけません。


いかがでしたか?14問すべて正解しましたか?
著作権は、いろいろな権利の集合体なので、かなりややこしいです。基本的には、自分で作ったもの以外の創作物はすべて誰かの著作物です。Webで素材を拾ってくるときには細心の注意を払ってくださいね!

それでは、熱血野郎でした〜!

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