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初心者も読みやすいマーケティング本『お客さんがホイホイ集まる法則』を読んでみた

たまにですが集客に役立ちそうな本を読んだら紹介していきます。今回は、初心者向けのマーケティング本。マーケ理論は難しいものが多いので、サッパリ頭に入らないってこともありますが、この本は違います。理論は全然なくて、実例だけをひたすら掲載した本です。

売れてる会社が、売れてる秘訣を話すわけないんですけど!

この本は、『日経MJ』(日経のマーケティング専門新聞)に連載されていたコラムを集めて再編したもの。2018年3月刊行なので、比較的新しい本です。
著者は経営コンサルタントの竹内謙礼氏。

「売れている会社の売れている秘訣」というテーマで連載されていたようです。経営コンサルの著者が顧客の情報を売った!?……わけではなくて、一から取材をして得られた独自の情報をまとめています。どうせ東京の会社ばっかだろ〜と思ったらとんでもない。日本全国の会社を取材しているから、それだけでも凄い本です。

でも、単純に考えて商売人が儲かる秘密を教えてくれるはずがない。
ここ大阪じゃ、どんなにウハウハでもホントに「ぼちぼちでんな〜」って言いますからね(笑)。

著者もネタ集めは苦労の連続だったと書いています。それを聞き出すためにどうしたのかというと、見返りに自分のコンサルノウハウをタダで提供したんだそうです(お酒を飲んで仲良くなったり、イベントブースを手伝って熱意を買ってもらったりとかも)。根性です。竹内さんすごい。

表紙には「200社に足を運んでわかった」とありますが、新聞での連載は250回にも及んでいます。
この本に掲載されているのは、その中のより抜きの50社です。

200社に足を運んでわかった お客さんがホイホイ集まる法則
2018年3月9日刊行
竹内 謙礼 著
1,620円

事例がいっぱい。構成が単純だから読みやすい

能書きは全然なくて、最初から最後まで事例がずっと続きます。各記事はだいたい5ページくらいなので、面白そうなものだけ拾い読みしても問題ない。構成もだいたい同じ。

ある企業が売れなくて悩んでいた。

しかしあることに気づいて思い切った解決策に出た。

それがヒットした。

著者の解説「この会社が成功した理由は〜」

この単純な繰り返しがとても読みやすいです。サクサクと次にいけます。
僕が面白いなと思ったのは次の会社(要約です)。

高知県にある動物の飼育小屋を製造しているメーカーが、10万円以上もする犬小屋商品を月に20個も売っている。その商品とは、無駄吠えの多い犬用の防音機能付きケージカバー。
いくら無駄吠えが多くて困ると言っても、ペットを処分なんてできないし、飼い主はずっと苦しむことになる。お金では解決できない悩みを抱えているということ。その解決策があるのなら、必ず買ってくれると気づいたのだ──。

静岡県の神棚を卸している木工会社がネットで神棚を売り始めた。最初はネットで神棚なんて全然売れなかった。しかし、実店舗とネットの売れ筋商品の違いから、お客さんの目的の違いに気づき始める。実店舗の客は漠然と買いものに来るが、ネットの客は明確な問題を解決するために来る。そこで、神棚に関するコンテンツをたくさん作り、写真は神棚のアップではなく神棚がインテリアの一つに見えるよう部屋全体を入れた引きの写真にした。年末商戦では月の売上が1,500万円にまでなった──。

この本を読むと、万策尽きたなんて言えなくなる

つっこみどころがある記事も出てきます。

たとえば、熊本県の睡眠グッズを販売している会社がプレミアムフライデーにリムジンを貸し切りにしてクルーズパーティーをやってることが紹介されています。
その目的は「非日常を体験することでお客様へのサービスへの大切さを理解し企画の発想に役立てるため」(←???)。
得られた効果が、「社員のモチベーションが上がった。入社予定の社員ともコミュニケーションを深められた」。うーん。なんだこの唐突なバブル感。
モチベーションとかコミュニケーションとか、そんな定性的なもののためにクソ忙しい月末の金曜日にパーリイーできないよ、小さい会社は。

あと、どの事例も、そのまま自分のビジネスにいかせるってものは一つもない。やっぱり自分のビジネスは自分で必死に脳みそを絞らなきゃいけない。
儲かる仕組みを考えるのは経営者の仕事なんだから、それを外部に求めるのは違いますよね。もしそこを外部化したら、その会社ってどんどん力を失っていくと思うし。

じゃあこの本、役に立たないじゃんって思った方は読んでみてほしい。
それでもこの本は魅力的と感じるはず。
ひとつに、デフレだ不景気だ少子化だ人材難だと言われている世の中で、ちゃんと成功している会社は存在しているってこと。しかも、資本力、規模の大小、業界、地域に関係なく。これには勇気がもらえる。

もうひとつは、「へええええ!なるほどすごい!」って感動できない「解決策」もたくさんあること。「え〜、そんなことで?ほんとに?一時のことじゃないの?」って疑いたくなるような話も多い。でも、逆に言えばそんな小さなことでも起死回生する可能性は十分にあるってことなんじゃないかと。二の足を踏むのがバカバカしくなる。やるしかねえ!って気持ちになります。

同じことをやってちゃダメだって僕も経営者時代にさんざん言われましたが、常に新しいことをやるってしんどくて、つい先延ばしにしてしまうんです。
実務が忙しい小売店さんなんかは、どこも同じじゃないでしょうか。
そこにカツを入れてくれること請け合いです。

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