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Webライティングは、中学生でも読めるように書く。そのための6つのコツ

ネットでは、読みやすい文章でないと読まれません。ほかに似た情報源は沢山あるので、わざわざ面倒くさい読み物に付き合う必要がないためです。読みやすく書こうと努めず漫然と書き始めると、文章には自分の癖が絶対に出ます。ここでは、読まれるWebライティングのコツを紹介します。

Webでは、「サクッと読ませる」のがうまい文章

あなたがいかに汗牛充棟であろうとも、その博覧強記を披露する相手や場所は選びますよね。プライベートな使用でないなら、Webはその場所ではありません。
Webライティングでは、できるだけ平易な言葉を使い、親切な表現に尽くしましょう。
だって、汗牛充棟とか博覧強記とかリアルで言ってくるヤツって友達少なそうじゃないですか(笑)

2017年に、はあちゅう女史が以下のツイートをしてひどく叩かれました。

「偏差値40のバカでも理解できるように」は口が悪すぎて反感買うに決まってますが、僕はこれ半分間違ってないと思います。
「謙虚に物づくりしろ」「伝える努力を忘れるな」という意味でなら。

Webの情報はメインが文字なので、音や視覚で伝えるテレビよりも伝わりやすさのハードルが高い。だから、ユーザーは「なんか面倒だな」と感じるとすぐに別のサイトに移動します。
一方で、検索ユーザーは自ら情報を取りに来ているのでテレビの視聴者よりも積極性は本来高い。「読みやすそうだな」と思ってさえくれれば情報を進んで受け取る。潜在顧客になる可能性がある。

とにかく読み始めてもらうことを第一に考えてライティングしましょう。
そのためには、サクッと知りたい気持ちに応えるのが大事です。

6つのコツを押さえて、読まれる文章を作る!

中学生に読めるよう心がけるといいと思います。サクッと読ませるWebライティングならではのコツを紹介します。

1 一文は短くする

一つの文章はできるだけ短くします。
「、」(読点)で区切りまくった長文は、読者の理解度を急激に下げるからです。
それを体感できる、『レ・ミゼラブル』の冒頭を挙げます。

 法律と風習とによって、ある永劫の社会的処罰が存在し、かくして人為的に地獄を文明のさなかにこしらえ、聖なる運命を世間的因果によって紛糾せしむる間は、すなわち、下層階級による男の失墜、飢餓による女の堕落、暗黒による子供の萎縮、それら時代の三つの問題が解決せられない間は、すなわち、ある方面において、社会的窒息が可能である間は、すなわち、言葉を換えて言えば、そしてなおいっそう広い見地よりすれば、地上に無知と悲惨とがある間は、本書のごとき性質の書物も、おそらく無益ではないであろう。(239文字)

読みましたか?(ホントに?)
これで一文です。とても、苦痛ですよね!!
要約すると、「世界に悲惨がある限り、この拙書も無益ではない」です。
……なげーよ!ってユゴー先生に誰も突っ込まなかったんでしょうか?
「すなわち」って三回言ってます。訳者も苦労したのでしょう。

『レ・ミゼラブル』はこんな調子が随所に出てきます。僕は35年の人生で、この小説を読了した人に一人しか会ったことがない。有名なのに読まれない理由は、この「一文クソ長」のせいだと思う。

ちなみに、頭のいい人には、「一文クソ長」は全然苦痛ではないらしいです。記憶力がいいと、どんなに長い文章が来ても理解を妨げないそうです。でも、普通の人は50文字を超える頃には、文頭の言葉を忘れます。だから意味が入ってこないし苦痛なんです。
頭のいい書き手は自然に長い文章を書いちゃうので、要注意かもしれません。

分割して一文を短くしてみましょう。

 法律と風習とによって、ある永劫の社会的処罰が存在する。その果てに、人為的に地獄を文明のさなかにこしらえ、聖なる運命を世間的因果によって紛糾せしむると、次の三つの問題が起こる。下層階級による男の失墜、飢餓による女の堕落、暗黒による子供の萎縮だ。これらが解決せられない間は、ある方面において、社会的窒息が常にある。言葉を換えて言えば、そしてなおいっそう広い見地よりすれば、地上に無知と悲惨とがある。その間は、本書のごとき性質の書物も、おそらく無益ではないであろう。

6つに分割しました。もっと修正したいですが、ずっと読みやすくなったのではないでしょうか。一文クソ長を避けるためには、次のことを心がけましょう。

・一文中に使う「、」は二個まで。
・それを超えそうなら分割する。

読点は、息継ぎ場所と考えます。
感覚的には、一文中に読点は一個が理想。二個が限界。三個は例外的な扱い
『レ・ミゼラブル』の元の文章では、一文中に17個の読点が入っています。そのため、ハアハアしながら読んでいる感じで息苦しい。
たくさん使っていいのはこういうのです。「私の好物は、いちご、みかん、バナナ、それにりんごです。」のような使い方ですね。この読点は同列の単語を区切るための記号として使用しているので、例外的にOKです。あえて読点だらけにする表現は、意図が伝わるならOKでしょう。

2 できるだけ短い文章にする

同じ情報が伝わるのなら、できる限り短い文章がよい文章です。ムダを削ってタイトな文章になるように、書いたら必ず推敲しましょう。
例えば、「私は、物心ついた時から嫌な人間だった」を述懐する文章があったとします。

小さいストレスに過剰反応する。何でも人のせいにする。それが私の生来の性質だ。
物心つく年齢は人によって様々だが、周囲に聞いてみると、だいたい4歳か5歳頃からの記憶を持つ人が多いようだ。私の場合は保育園の入園式を覚えているので、3歳からの記憶がある。3歳には物心がついていたので、これは人より少し早いかもしれない。そして、その時から私はもう嫌な人間だったのだと思う。入園当初から、私はよく泣き、他の子どもとの喧嘩やトラブルが多い子どもだった。小競り合いを起こしては、また泣いた。もちろん、それだけならありがちな話だが、私は自分の性格のマズさを親のせいだと思い込んでいた。だから、家に帰ると母を攻撃した。(300文字)

言いたいことは、「私は、物心ついた時から嫌な人間だった」です。しかし、「自分が物心ついた年齢について」ボリュームを割いています。だから言いたいことが伝わりにくい。「一般的な物心がつく年齢」や「自分が人より早かったこと」は、主旨の前提にも補足にもなっていない。つまり不要です。
自分の性格についての述懐が主観であることは自明なので、「のだと思う」も不要です。「もちろん」は、「今述べたことは特筆すべきことではないのだが、それをこれから否定する」という前置きですが、なくても意味は通じます。どれもカットしたのが以下。

小さいストレスに過剰反応する。何でも人のせいにする。それが私の生来の性質だ。
私は、物心ついた3歳の時にはもう嫌な人間だった。私はよく泣き、他の子どもとのトラブルが多い子どもだった。小競り合いを起こしては、また泣いた。それだけならありがちな話だが、私は自分の性格のマズさを親のせいだと思い込んでいた。だから、家に帰ると母を攻撃した。(166文字)

3 言いたいことを先に述べる

文学作品ならどう書いてもいいのでしょうが、Webでは先に結論を述べます。文章全体の構成では、まずタイトルやリードに結論を書く。
一つの文章の塊の中でも、結論を先に述べます。そうすることで、読み進めやすくなります。上の例文を修正しましょう。最終的に、300文字から165文字まで短くできました。

私は、物心ついた3歳の時にはもう嫌な人間だった。小さいストレスに過剰反応する。何でも人のせいにする。それが私の生来の性質だ。私はよく泣き、他の子どもとのトラブルが多い子どもだった。小競り合いを起こしては、また泣いた。それだけならありがちな話だが、私は自分の性格のマズさを親のせいだと思い込んでいた。だから、家に帰ると母を攻撃した。
(165文字)

4 難しい表現や漢字を使わない

侃々諤々、唯々諾々、喧々囂々、みたいなやつは使用を避けます。これくらい読めるだろ!って人は、多いでしょう。そんな「簡単な言葉」ばかり使っていたら、読めない若者が増えて死語が増える一方だと嘆く方もいます。
まあそうかもしれないけど、知ったことじゃありません。
一番の目的は店のPRであって日本語を守ることではないので……。
それに大丈夫。そこは文学が担ってます。どっちみち、生きているところにしか言葉は生きない。昔も今も同じです。

特定の漢字は、それほど難読でなくてもひらがなにすることも推奨します。これは、Webだけではなく出版業界でも行われていることです。具体的な漢字リストを挙げて解説するので、詳しくはこちらのページをご覧ください。

「漢字をひらく」ことを習慣化しよう!ひらがなで書くべき漢字って?

5 文章もデザインする

文章を書く時には、読みやすい見た目にも気を遣います。具体的には次のことを気をつけます。

・適度に改行を入れる
・箇条書きを使って強調する
・文意で行間を空ける

長くなってしまうので、別のページにまとめました。詳しくはこちらをご覧ください。
「読ませるための、読みやすい文章をデザインする」

以上、熱血野郎でした〜!
※ユゴーの悪口書いてる風ですが、『レ・ミゼラブル』は最高です。ぜひ読んでくださいね〜

→このページを読んだ人が見ている記事「最強の販促ツール知ってる?」