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正しいサービス利用規約の作り方を解説します。他社のコピペは絶対ダメです

Webサイトを作った際に、サービス利用規約を作るかどうか迷うことがあると思います。簡単に言えば、顧客ともめ事になる可能性を避けたい場合は利用規約が必要です。その際、似たサービスをしている他社の利用規約をコピペ……という手法はやってはいけません。

サービス利用規約は何のために、誰のためにあるか

他社も掲載しているから、とりあえず何か掲載しとけばいいのか?という程度に考えている方が意外と多いらしいのですが、利用規約は何となくで作ってはいけないものです。
なぜなら、利用規約は係争を避けるためにあるから。

他社の利用規約を見てみましょう。
項目はいろいろ並んでいるように見えますが、内容はすべて免責です。利用規約はユーザー(お客様)向けではなく、サービス提供側が身を守るためにあるものです。

コピペで作ると、自社に合わない

利用規約に著作権はないので、コピペ自体が罪に問われることはありません。
それに、利用規約は長くて難しい文章なので、他社の規約文書を勝手にコピペして使っている会社がけっこうあります
これはやってはいけません。

サービス内容が似ていても、商品から配送方法から納期まで、何もかもが同じ会社というのはないと思います。それに、商品と配送方法と納期が同じだったとしても、免責範囲をどうするかは経営者の考え方次第なので、千差万別になるはずです。

利用規約は、まずどのようなクレームが起こりえるかリスクの想定を行います。
次に、その免責範囲を決めます。

これは、その会社の法務の範疇なので、経営の根幹を理解している人でないと書けません。他人には絶対に無理です。
Webサイトを作る会社に「他社のコピペで」「適当に書いておいて」と丸投げするなんて論外です。平社員のサイト担当者に「それっぽくできていればいいよ」と作らせる種類の文章でもありません。

コピペで作ると、文章が破綻することが多い

異なる複数の会社の規約をつぎはぎしている場合もあります。
これは最悪なケースです。
これをすると、大抵の場合、規約文書として成立しません。
規約文書は法律文書のようなものなので、複数の解釈ができないよう、誤解を生まないよう注意しなくてはいけません。

ここはペット禁止です!
フン、放し飼いが発覚した場合は罰金1万円

常識的に考えれば、上のテキストで誰にでも意味は通じます。しかし、利用規約としてはよくありません。
「ここ」がどこか明記されていないし、「ペット」が何を指しているのかわからないし、フンはダメでもおしっこならいいのか?禁止しているのは進入なのか放し飼いなのか?が不明確だからです。このように、複数の解釈ができる文章だと、クレーマーが難癖を付けたり、違反した時に言い逃れをすることができる隙が生まれてしまうのです。

利用規約では次のように文章を作ります。

井上公園(以下当公園とする)では、犬、猫、ウサギ、モルモット、ニワトリ等あらゆる飼育動物(以下ペットとする)の侵入を禁止する。
当公園にペットが侵入した場合、当公園は即時ペットの退去を求めることができるものとする。
当公園内でペットが糞尿をした場合、ペットを放し飼いにしたことが判明した場合には、当公園はペットの飼い主に対して1万円の罰金を請求することができる。

日本語は関係性から主語がわかるので、主語を省いた話し方、書き方をすることが多いです。しかし、利用規約は、文法精度が普通の文章とは異なります

もし、冒頭で「以下当社といいます」と書いたのに、途中から「弊社は〜」が混ざっちゃったとします。すると、その部分の規約だけ、免責されない可能性が出てきます
常識的に考えれば、当社も弊社も、その規約を掲載している会社に決まってますが、最初に当社を定義づけたのであれば、「弊社って誰よ?」って言えちゃうわけです。

二社の利用規約をつぎはぎしてはいけない理由はこれです。用語が統一されてないと破綻します。
よほどしっかりした書き手がリライトすれば、コピペをひな形に修正で作れるケースもあるのでしょうが、そもそもそんな優秀な書き手がいるなら、正攻法で作った方がよいと思います。

利用規約は、士業の人と一緒に作る

自分で書いて書けないことはないのですが、自分で書いた場合は、それの監修(チェック)は、やはり士業に依頼しましょう。
自分で書くのが大変そうなら、弁護士や行政書になど士業の人に依頼し、打ち合わせをして作ってもらうのがいいと思います

依頼側は、サービスの内容を説明し、想定できるリスクを列挙し、それについての考えも伝えます。

例:訪問販売ではないので本来はクーリングオフの対象外だが、クレームが過去に起きているので、全商品を返品返金の対象にしたい。

例:会社のサーバーが壊れることを想定し、お客様から預かった印刷データを紛失した場合の損害賠償の責を負わないようにしておきたい。

士業の方もある程度のひな形は持っていますが、それでもヒアリングしてゼロから作る必要は素人よりずっと深く知っています。また、たくさんの会社の規約文書を作っている弁護士や行政書士なら、他社の情報も経験として知っています。「それでは想定が甘い」という指摘もしてくれます。

行政書士に依頼しても、料金はたかがしれています。
15,000円から制作してくれるところもあります(内容はピンキリかもしれませんが)。
それをケチったがために、訴訟になって何百万円も損害賠償を支払うはめになるかもしれません。訴訟が回避できたと考えれば安いものです。

そもそも、利用規約だろうと何だろうと、コピペ文章をそのまま掲載する行為は恥という感覚がないと、Webで生きていくのはかなりしんどいですね……。

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