ダイレクトメール、チラシ、ショップカード、紙袋など、色々な販促ツールを作る時は、印刷方法も気にしてみましょう。部数によっては、印刷方法を変えることでコストを削減できる場合があるからです。オンデマンド印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、それぞれの違いと選び方を説明します。
版の有無と、版の違い
印刷業界で当たり前のように使われる用語に、「オンデマンド印刷」と「オフセット印刷」「フレキソ印刷」があります。ポスターやパンフレット、名刺などの印刷依頼をするのに、どれがいいのか迷うと思います。
まず大きな違いは「版」を使用しているかどうか。
●版を使用しない印刷
・オンデマンド印刷
●版を使用する印刷
・オフセット印刷
・フレキソ印刷
オフセット印刷とフレキソ印刷では、版の種類が異なります。
小部数、バリアブル印刷ならオンデマンド印刷!
データをパソコンからプリンタへ直接送信して印刷する方法を「オンデマンド印刷」といいます。家庭用のインクジェットプリンターと仕組みは同じ。インクを粒状に紙の上に吹き付けて定着させています。
オンデマンドとは、On demand(必要なものを、必要なだけ、必要なときに)という意味。製版という工程がないので、コストと時間が削減できます。その反面、ドットやグラデーション、緻密なデザイン、細かい文字などの再現は苦手なためモアレという印刷の乱れを起こすことがあります。
●オンデマンド印刷のメリット
・製版代がかからない
・製版にかかる時間の削減
・バリアブル印刷が可能(一枚ずつ内容の異なるデザインを刷ること)
●オンデマンド印刷のデメリット
・印刷精度が低い(モアレが起きやすい)
・量産する場合は逆にコストがかかる
→オンデマンド印刷が向いているのは……
・少部数
・急いでいる時
・チラシ、DMなどクオリティにそれほどこだわりがない場合
・連番を印刷するくじ、社員証、宛名印刷など
大量印刷を綺麗に仕上げるなら、オフセット印刷!
オフセット印刷は、最も一般的な印刷方法です。版を作成して印刷します。
版画と仕組みは同じ。金属製の版にインクを乗せ、そのインクを一度樹脂製のブラケットと呼ばれるローラーに移してから、さらに紙に移します。
版を直接紙に押しつけずに中間にブラケットを挟むことで版の痛みを防ぎ、均一な印刷結果を保つことができます。オフセット印刷のOff Setとは、版からインクをOff(ブラケットに移す)して、Set(紙に移す)ことを意味します。
製版代と製版時間がかかりますが、大量生産するならオンデマンド印刷よりもトータルコストは安くなる特徴があります。部数の多い雑誌や書籍などはオフセット印刷で刷られています。
●オフセット印刷のメリット
・印刷精度が高い
・量産する場合はコストが下がる
●オフセット印刷のデメリット
・製版代がかかる
・製版にかかる時間が必要
・バリアブル印刷は不適
→オフセット印刷が向いているのは……
・大量生産
・時間にゆとりがある時
・クオリティにこだわりたい書籍、写真集、ポスターなど
大量印刷を安価に実現するなら、フレキソ印刷
フレキソ印刷も版を使用します。オフセット印刷とは異なり、間にブラケットを挟みません。また、版の性質も異なります。
フレキソ印刷で使用される版は、ゴムや樹脂でできている弾性のある素材です。ゴム製のスタンプを想像してもらうとわかりやすいかもしれません。弾性のある版ではオフセット印刷のような細かい網点の再現ができないため、色の掛け合わせができません。つまり、基本的に「ベタ印刷」となります。まら、印刷精度もオフセット印刷には劣ります。
フレキソ印刷はコストが下がるメリットがありますが、大量生産しないと逆に割高になります。水性インクを使うことができるので環境負荷が少ないことがメリット。オフセット印刷の発達で一次は衰退するかと思われましたが、海外を中心に見直されてきた印刷方法です。
●フレキソ印刷のメリット
・大量生産の際に、最もコストが安い
・環境負荷が少ない
●フレキソ印刷のデメリット
・色の掛け合わせができない
・印刷精度がオフセット印刷に劣る
・少量の生産には不適
→フレキソ印刷が向いているのは……
・大量生産
・時間にゆとりがある時
・ほどほどのクオリティでよい消耗品、箸袋、紙袋など
まとめると次のようになります。
・印刷精度
オフセット印刷>オンデマンド印刷>フレキソ印刷
・コスト(少量生産の場合)
オンデマンド印刷>オフセット印刷 (フレキソ印刷は不適)
・コスト(大量生産の場合)
フレキソ印刷>オフセット印刷>オンデマンド印刷
・納期
オンデマンド印刷>オフセット印刷>フレキソ印刷
納期的にはオフセット印刷でもフレキソ印刷でもどっちでもいいという場合は、やりたいデザインで選択するのもありでしょう!