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知っていれば完成後をイメージしやすい!印刷デザインの用語2

同じデザインを使用しても、印刷や加工の方法により仕上がりに違いが出てきます。イメージ通りのチラシやメニュー表を作るには、印刷デザインの専門用語を少し知っているとオーダーしやすくなります。印刷と加工、写真、体裁に関する用語を解説します。

印刷のことが少しわかると、デザインの幅が広がる!

目次

1.制作や進行に関する用語
2.デザインに関する用語
3.印刷と加工に関する用語
4.写真に関する用語
5.体裁に関する用語

1と2の項目については前回の「印刷デザインを発注する際に知っておきたい専門用語1」をご覧ください。
印刷や加工に関する用語は、井上工業所でもお客様との打ち合わせによく使います。できるだけ専門用語は使わないようにしていますが、「オフセット印刷」とか「CMYK」とか、どうしても他の言葉に置き換えられない単語もあります。

印刷のことを少し知っていると何がいいかというと、デザインの幅が広がります。印刷物のデザインは、立体物とも言われます。紙は平面のようで、ちゃんと凹凸がありますよね。どんな紙にどんな内容でどう印刷するかで、光沢、手触り、高級感なんかが変わってきます。
それを含んでの「デザイン」なので、知っておくとお得なんです!

印刷と加工に関する用語

・オフセット印刷
金属製の版をブラケットと言われるローラーに巻き付けて印刷する方法。細かなグラデーションを表現できます。小さなドットを紙の上で重ね合わせることで、人の目には混色された色に見えます。新聞や雑誌など、ほとんどの印刷物でオフセット印刷が採用されています。少部数から大量生産で使用されます。
2,000枚のご注文なのでオフセット印刷を使いますね」のように使われます。

・オンデマンド印刷
版を使用せずに印刷する方法。インクジェットプリンターを想像してください。
製版を行わない分だけ、オフセット印刷よりもコストが抑えられますが、オフセット印刷ほどクオリティは高くありません。製版代がかからないので、印刷枚数が少ない場合に向いています。
メニューは10部なので、オンデマンド印刷で十分です」のように使ってみましょう。

・ベタ
「塗りつぶす」という意味です。インクが網点(ドット)にならず面になるように、用紙の上を塗りつぶす印刷です。デザイン工程でも、印刷工程でも使う用語です。
この黒ベタ、印象が強すぎるので80%くらいのグレーにしてください」のように使ってみましょう。

・特色
プロセスカラーと呼ばれる基本の4色(CMYK)以外のインクのこと。CMYKでは表現できない色(金、銀、蛍光色、パステルカラーなど)や、1色印刷や2色印刷にして版の数を減らしたい時に「あらかじめ調色されたインク」を使う時にこれを特色と呼びます。
通常使用するインクとは異なるインクをあらかじめ調色した上で使用するため、手間とコストがかかります。
ロゴだけシンプルに置くデザインでいいので、特色1色刷りでいいです」のように使ってみましょう。

・CMYK
オフセット印刷で使われる基本の4色。CMYK(シーエムワイケー)は色の頭文字から取られています。それぞれ、シアン(青)、マゼンダ(赤)、イエロー(黄)、キーノートブラック(黒)を指します。この4色のことを、プロセスカラーとも呼びます。特色以外は、基本的にこの4色を掛け合わせることで作られています。
シアンが強く出ているので、写真の補正をしなおします」のように使われます。

・加工(箔押し、PP、エンボス、ニス引き、UV印刷)
箔押しは、熱や圧力を用いて金属製の箔を転写する方法のこと。
PPとはポリプロピレン製のフィルムで印刷面を覆う加工のこと。耐水性と強度が出ます。
ニス引きは、樹脂製の塗料を印刷面に塗ること。全面覆ったり、部分的に塗ることもできます。エンボスは、金属製の型を押しつけることで紙に模様を浮き出させること。硬貨の模様もエンボスです。
UV印刷は、紫外線が当たると硬化する特殊なインクを使用した印刷方法です。ぷっくりとした質感、ざらっとした質感など、面白い表現ができます。
屋外イベント用の紙袋なので、PP加工をしてください」のように使ってみましょう。

・製版
印刷に使う版を作ること。オフセット印刷の場合はアルミの薄い板が版の材料です。オフセット印刷は水と油が弾く性質を使って版を作ります。リトグラフ(版画。石版とも言います)を知っている方なら簡単な原理なんですが、説明が煩雑なのでここでは控えます。とにかく18世紀にはもう確立されていた技術です。もういよいよ印刷に回るぞ!という工程を意味してます。
製版代がかかるので、オフセットでなくオンデマンド印刷がおすすめです」のように使われます。

写真に関する用語

・角版
写真やイラストを正方形や長方形など四角の形で使用することです。
この角版を、もう少し大きくしてください」のように使ってみましょう。

・解像度
ドット数の密度を表す数字で、dpi(dots per inch)の単位で表されます。
10dpiなら1インチ四方の正方形で、1辺が10ピクセル、10×10で100の画素(dots)があるという意味です。
数字が大きいほど画質がよく、数字が小さいと画質が粗くなりますが、高ければ高いほどいいというわけではありません。詳しくは井上工業所のサイトに書いたのでご覧ください。
→「使える画像の大きさは?解像度とは
「この画像の解像度が足りないので印刷に耐えません。元画像はお持ちですか?」のように使われます。

・実寸
画像は印刷用の解像度に変換して配置されます。印刷用の解像度(350dpi)に変換した時の縦横の大きさのことを実寸と言います。デジカメデータは72dpiになっているので、これを350dpiにすると実寸は小さくなります。
印刷用にすると実寸が横5cmしかないので、これ以上拡大できません」のように使われます。

体裁に関する用語

・ペラ
1枚の用紙だけで作られているものを指します。ページがないものを指します。A4サイズのチラシなんかがそうですね。1枚の紙で作られていても、折りがあってページの概念が出てくるもの(A3二つ折りのパンフレットなど)は、ペラとは言いません。ややこしいですね!
価格は近々改定する予定があるので、パンフ本体に入れずにペラを挟むことにします」のように使ってみましょう。

・見開き
冊子などで隣り合う2ページのこと。パンフレットやメニューなどに使われます。体裁がA4でも見開きは倍の大きさになるのでA3の画面が使えます。大きく写真を入れたりして大胆な構成ができます。
最初の見開きはサービス概要、次の見開きで会社概要を入れたいです」のように使ってみましょう。

・扉
冊子の最初にあるページのこと。書籍だと、冊子本体の紙とは違う透き紙を入れたり、色の違う紙を入れたりすることがあります。扉に入れた絵を扉絵と言います。また、各章の最初にそれとわかるよう異なるデザインを入れる場合も、ここを扉と呼びます。
36ページのカタログなので、扉をいくつか入れた方が見やすいでしょう」のように使われます。

・中とじ
用紙を重ねて折り目の部分を背にし、中心線を針金や糸などを通してとじる製本方法のこと。雑誌などでよく用いられており、安いコストで製本できます。
A4、8ページ、中綴じの体裁で作成します」のように使われます。

・平とじ
二つ折りにした用紙を重ねて背の部分から離れた部分をホチキスなどでとじる製本方法です。または、背の部分をのり付けして綴じることも平とじと呼びます。
中綴じと違ってくっきりした「背」ができるので、ちょっと上質な冊子感が出ます。
取扱説明書など、保存性を高めたいアイテムに用いられます。
平とじは、中綴じと違ってページがべたっと開きません。ページ中央に余白を多めに取る必要があります。
高級感を出したいので、平とじでやりたいです!」のように使ってみましょう。

・無線とじ
平とじと同じように、二つ折りにした用紙を重ねて、背の部分をのり付けする製本方法。文庫本が、この製本方法です。
高級感を出したいので、無線とじでやりたいです!」のように使ってみましょう。

・折り
紙を折る加工のこと。二つ折り、三つ折り、などいろいろに折ることができます(やってくれない印刷会社もある)。A3を二つ折りにすると、仕上がりがA4サイズのパンフレットになります。三つ折りにすると、細長いパンフレットができます。三つ折りや四つ折りで、蛇腹にせず両端を内側に折りこむことを「観音折り」と言います。
折りの工程があるので、少し納期が延びますがいいでしょうか」のように使われます。

前半はこちら!
→「印刷デザインを発注する際に知っておきたい用語1

→このページを読んだ人が見ている記事「最強の販促ツール知ってる?」