ロゴを発注して上がってきたものが思い通りのものではなかった。そんな話をよく聞きます。それは伝えなければいけないことが伝わっていないから。ここでは発注時に押さえておきたいコツをご紹介いたします。弊社と取引している某デザイン事務所のデザイナーに話を聞いてまとめました。
作りたいロゴは文字?マーク?それともセットで?
ロゴと聞くと、マークのようなものをみなさんイメージされているのではないでしょうか?
このマークもロゴと呼ばれる一つですが、厳密にはロゴには下の2種類があります。
・会社名や商品名の文字列をデザインする「ロゴタイプ」
・会社のイメージやアイデンティティを図案化した「ロゴマーク(シンボルマーク)」
ロゴタイプの場合は単体での発注となります。
ロゴマークを依頼する場合は会社名などの文字列がシンプルになる場合がほとんどです。
セットで依頼することももちろん可能ですが、ロゴタイプとシンボルマークがどちらもメイン級で目立ってしまうとデザインが競合してしまうため、どちらかを主体にします。
「どっちも目立たせて!」などの依頼は避けた方が無難です。
うまい伝え方。参考になるサンプルを見せる
「かわいい感じでお願いします!」
ロゴを作る際こんな語彙だけで済ませてしまうと、デザイナーへ正確な情報が伝わりません。ウィリアム・モリスの壁紙もマイメロのぬいぐるみも、どっちもかわいいと言えます。形容詞は、受け取り手によってイメージの幅が広すぎるのです。
発注時には、まず「誰に何を売るためのロゴなのか」コンセプトを伝えるのが大事。
その上で、「かわいい感じ」「具体的には、クラッシック、シャビー、ロマンティックだけどガーリーではなくて、映像で言うなら『ダウントン・アビー』で……」などのイメージを伝えます。
デザイナーは、その両方から意図を汲み取って「それではこんなビジュアルがよいのでは?」と提案します。ターゲットや商材とそのイメージが合わないのなら、「もっとこんなイメージもあるよ」ということも出してきます。
明確なイメージを持っているのなら、3パターンほどデザインサンプルを見せるのがおすすめ。身近にある服や紙袋などお気に入りのデザインから、イメージに近いものを選んでみてください。
参考になるイメージは出来るだけ類似のものを選ぶ
イメージに近いお気に入りのデザインが揃ったら、一度そのロゴをずらっと見比べてみましょう。その際、極端に違うものばかりならストップ!
サンプルを見せる目的はイメージのブレをなくすためです。イメージがバラバラなものを提出すると、デザイナーは混乱します。
また、サンプルを見せる場合は、「どこのどの部分がいいと思っているのか」を伝えましょう。
イメージが固まっていない場合は、「方向性が決まっていないので好きなデザインを集めてみた。相談に乗ってほしいので、もう少し打ち合わせをしたい」と伝えましょう。どういう意図でサンプルを送ってきたのかが不明だと、デザイナーは考える時間が無駄になりますからね。「それならそうと早く言ってよ」って思うそうです。
気をつけよう……。
色と書体を上手に選ぼう
大雑把に言うと、色味(彩度と明度)でイメージが変わります。
・暗い色……固さ、重厚感
・中間色……柔らかさ、優しさ
・明るい色……元気、勢い
色が持つイメージ
書体も同様。ゴシック系と明朝系では見た目の重さが違ってきます。
・ゴシック体……カジュアル、男性らしさ、力強さ、ポップ、パワフル、動的
・明朝体……エレガント、繊細、高級感、女性らしさ、クラシック、静的
書体が持つイメージ
色も書体も、上記の例は王道のパターンなので、「エレガントで高級感のある暗いレッド系のロゴタイプにしてください」とオーダーすると、明朝系のタイポグラフィを使って暗めの赤色を選ぶデザイナーが多いでしょうね。
もちろん例外はいっぱいあります。会社名がUFLだった場合、明朝系でえんじ色にしたら、UFJのロゴに似すぎです。デザイナーは絶対に避けるはずです。
伝えるべきことを伝えたら、あとはデザイナーに任せる
デザイナーは全体のイメージをゴールとし、そこに近づけるために色と書体を選定し形にしていくため、要求されたイメージとチグハグの要素を出されてしまうと苦戦を強いられます。
こだわりは必要ですが、極端に固執すると良い結果にならない傾向があります。
究極を言えば、あなたの「気に入るロゴ」を作ることは目的の第一義ではなくて、会社やお店に利益をもたらす、儲かるロゴを作るのが正解。
ある程度、プロに任せるというのも大事だと思います。
補足:細かすぎるマークは要注意
ロゴは視認性が大事です。また、さまざまな物に展開して使用します。名刺、パンフレット、看板、Webサイト、ノベルティなど。そのため、縮小した時にきちんと再現されるかどうかも大事。地の色(背景)が白とは限らないので、白抜きで印刷した時に綺麗に印刷できるかどうかも想定してデザインします。
近年は印刷やレーザーカットの技術が向上したため、繊細なデザインも問題なく表現できることが多くなりましたが、線が細すぎたり、点描のような細かすぎるデザインの場合、印刷物によっては潰れてしまいます。
線はある程度の太さを持たせた方が、印刷サイズに制限が少なくなります。
発注の際はこの点も注意しましょう。