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八方美人は嫌われる。ターゲットの絞り方

万人受けを狙って八方美人になると、嫌われることがあります。ターゲット設定は、マーケティングやブランディングを行う出発点。設定したターゲットへ向けてPRする方が効率よく効果的です。
伝えたい事をしっかりと伝えるために、ターゲットを絞り込みましょう。そのためのコツも紹介します。


二兎追うものは~にしない!ターゲット設定が重要

「二兎を追うものは一兎をも得ず」と、ことわざにもあるように、欲張って万人受けを狙うと誰からも見向き去れなくなる可能性があります。そうならないためにも、興味を持ちそうな顧客層を絞り込むことが重要です。
その顧客層は「ターゲット」とよばれ、「商品やサービスを使って欲しい人」を指します。ターゲットを定めるとビジネス戦略が練りやすくなるので、その人に合わせたアプローチの方法を取りやすくなるのです。

「万人ウケ」がないわけではない

ターゲティングには、否定的な意見もみられます。それは「自ら客を絞り込んで門前払いするなんて愚かだ」というもの。よく耳にするブランドでも、顧客層を広くカバーしているところもあります。ターゲットを絞らないことで集客力を持つ好例は、ファッションブランドならユニクロ、雑誌ならan・anといった具合です。

しかし、後発がここを狙うのは困難でしょう。小人が巨人に立ち向かうようなものです。リソースが少ない小売店のとるべき戦略ではありません。
ターゲットを絞り込むということは、「他のユーザーは切り捨てろ」ということではなく、「最も見込みのあるユーザーにしっかりと伝える」ことだと考えるのがいいでしょう。

ターゲット設定を広く取り過ぎてしまった失敗事例

ターゲットを絞ることで顧客層が狭まることに不安を感じることもあるでしょう。しかし、ターゲット設定を広く取り過ぎてしまうと、戦略があいまいになり、施策が場当たり的になってしまいます。

18年連続赤字だったハウステンボスが、一年半で黒字転換

その例としてあげたいのが長崎県佐世保市にある「ハウステンボス」。東京ディズニーランドより広い面積を持つテーマパークです。
ハウステンボスのオープンは1992年(平成4年)です。80年代の終わりから90年代は、団塊ジュニアが親になった時代。子どもが多かったので、全国的にテーマパークの建築ラッシュが起きました。ハウステンボスも、その一つです。
この時代にもターゲティングという概念はあったと思いますが、「作れば客が来る」という時代なので見積もりの甘さもあったのでしょう。ターゲットが広すぎた。ハウステンボスは、18年連続の赤字決算を出してしまいました。

再建にあたり最初に行われたのがターゲティングです。朝・昼・夜の時間帯、若者・家族・シニアという客層でセグメントし、アトラクションやイベント別にターゲティングを行いました。これにより、それぞれが感動するプログラムを提供することに成功。
具体例をあげると、今まで全世代に向けていた施設を細分化し、子ども向けには「ゲームの王国」を設置し、大人向けには世界から一流のアーティストを呼び、シニア層には「ハウステンボス歌劇団」によるショーを開催して喜ばせました。
相手を思って喜ばせる、というシンプルな方法で、1年半後には黒字という成果を出したのです。

ターゲットを設定するコツは実在の人物を思い浮かべる

ターゲティングとは

ターゲットを決める前には「セグメンテーション」を行う必要があります。

・年齢や性別
・職業
・住所
・購入履歴

などの項目でグループ分けをして、商品やサービスの顧客が市場のどの位置にいるのかを確認していく作業です。
セグメンテーションされたグループから「商品やサービスを使って欲しい人」をピックアップ。その客層がターゲットとなり、販売戦略を立てていくのです。この作業をターゲティングといい、とても重要な作業となります。

細分化しすぎもよくない!?

大企業がターゲットから外したニッチな領域を探して細分化しすぎると、ビジネスがスケールダウンしてしまうことがあります。それが、顕著に現れたのが女性誌です。数ある雑誌の中でも、名が知られていた「egg」「Zipper」「Ane Can」ですが、ターゲットがコアすぎて単価を上げざるをえない事態に。持続できずに廃刊に追い込まれました。

適度なセグメンテーションとは

「20代前半女性」と一言で表しても、そこには子持ちの主婦だって女子大生もいます。また、スニーカーしか履かない人もいれば、ヒールしか履かない人もいるでしょう。これではターゲットが広すぎます。
反対に、「20代前半、都内在住の独身女性で、実家が資産家で美意識が高く、ネイルとピアノが趣味で小型犬を飼っている留学経験者。洋服に毎月5万円以上かける」なんて狭めると、そんな人が何人存在するのかが怪しくなってきますね!
ターゲットは適度にセグメントしないといけません。

ターゲットを設定するコツは「属性+価値観」

ターゲットを設定する際に必要な3つの軸があります。

1 基本情報(年齢、性別、家族構成、職業、収入、住所など)
2 価値観(大切にしているものや考え)
3 将来(悩み、希望、願望、課題)

ターゲットを設定するときのコツは、実際の友達や知り合い、漫画のキャラクターなど具体的な対象がいると決めやすいですね。過去の自分や家族を思い出してもいいでしょう。

「1 基本情報」を決めるときに念頭に置きたいのが、競合がないことと得意分野であることです。
「2 価値観」は趣味嗜好とも言い換えることができます。ただし、あまり細分化しすぎないことが大切。
「3 将来」は、基本情報と価値観をふまえ、そのターゲットが感じている悩みや願望を抜き出します。

適切なターゲット設定ができれば、利用して欲ししい人に「伝えたい事をしっかりと伝える」ことができます。それは、消費者へ向けた最高のプレゼンテーションになるでしょう。

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