企業や店舗運営において、突如現れるクレーマーの対応に頭を悩ませている担当者の方は多いかと思います。今回の記事では、悪質なクレーマーがその場に居座り、退去しないという状況に焦点を絞り、その対応方法を解説します。
帰らないクレーマーは「不退去罪」にあたる
正当なクレーマーであれば、こちらが誠実な対応・解決への歩み寄りの姿勢を見せれば冷静さを取り戻し、居座るなどの行為に出ることはありません。
つまり、嫌がらせのようにその場に居座り続けるクレーマーはそ、の時点で悪質だと判断してしまって問題ありません。
社屋や店舗など、私有地に強行的に居座り続ける行為には、刑法130条「不退去罪」が相当するので、犯罪です。
第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
出典:Web六法全書
不退去罪を正当化するには「再三の」警告が必要
上記引用文における「要求」とはつまり、「お引き取りをお願いすること」です。
この不退去罪を正当化するには、まず「この状況での問題解決が困難であるため、一度お引き取りを願いたい」という意思を明確に言葉で相手に伝える必要があります。
さらに、相手が強硬な姿勢を見せていることを顕著にするためにも、時間の間隔を空けて再三、複数回にわたって警告する必要があります。
これは、万が一このクレームが裁判まで発展した際に、相手の不当性を追求するために重要な要素となります。こういう時のために、ICレコーダーは絶対にあるといいですね。
クレーマーに困ったら警察に電話していい
相手には「今から警察に電話をするので、そのままお待ちください」と告げてしまっていいと思います。「110番された!今から警察が来る!」と思うでしょう。それで帰ってくれるならとりあえずはOKです。
その場でクレーマーが騒いでいると他のお客様にも迷惑ですし、従業員のストレスになるしで営業妨害です。とにかく帰ってもらうことを目的に動きましょう。
いきなり110番ではなく、警察への連絡はまず「#9110」へ
不退去の状況が、クレーマーが激昂した様子ではなく、ただ単に帰らないという状況であれは「#9110」から警察に連絡をしましょう。クレーマーには、それが9110番か110番か言う必要はありません。おそらく警察と聞けば110番だと思い込むはずです。
110番は緊急通報ダイヤルです。緊急性の低い電話はしてはいけません。
9110番は、「警察相談専用ダイヤル」です。
ここから刑事事件に発展するかもしれないという状況においての相談窓口です。
電話をかけた地域の管轄窓口に繋がるため、その後の対応も速やかに進めることができます。
しかし、受付時間が平日の8:30〜17:15など、限定されている地域もあるため、時間外である場合は110番へ連絡をしましょう。
器物損壊や暴行など、緊急性のある状況は110へ
クレーマーが激昂しており、暴言・暴力や周辺の器物を壊している場合は、すでに恐喝や威力業務忘我など犯罪行為として明確であり緊急性が高いため、迷わず110番へ連絡をしましょう。
警察への電話の前に最終通告を
警察への連絡をする前に、まずクレーマーに対して「今から警察へ相談をするためその場でお待ちください」と通告をしましょう。それによって退去するのであれば、それも一つの解決方法だと言えます。
その場で安易な結論を出さない一貫した態度を
威圧的な態度や強硬的な姿勢で担当者にプレッシャーをかけてくるクレーマーも多くいますが、それに屈して安易に相手の要求を受け入れてはいけません。
あくまで社会通念に則った、誠意ある対応を行う・いざという時は警察や弁護士などの第三者に判断を委ねるといった一貫した態度を取り続けましょう。
不当に私有地を占拠し続けるクレーマーにそもそも正当性はないため、正面から取り合う必要はありません。