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お店は客を選ぶ権利がある。入店拒否・出禁は合法です

店舗運営上、どうしても避けられないのがクレーマーの対応です。特に悪質なクレーマーは入店拒否・出禁にしたい……というのが正直なところ。客を選ぶなんて違法では?と心配されるかもしれませんが、基本的に合法です。ここでは客を選ぶ権利の有無と法的な見解について詳しく解説します。

クレーマーの排除は正当なリスクマネジメントだ

カフェ経営をしていたとき、僕もある特定のお客様について非常に悩みました。延々と僕に文句を言って来たり、スタッフに絡んだり、時にはグループでやってきてイチャモンを付けたり、それはそれは大変でした。ハゲるんじゃないかと思うくらいいろんなことを考えましたからね。

三波春夫さんの言葉「お客様は神様です」が曲解されて一人歩きし、顧客満足度向上がビジネスの標語になって、ディズニーの感動マーケティングが大正義みたいに言われますが、日本のサービス業の顧客対応は行き過ぎてる感がありませんか?

顧客満足度を高めるのは正しいし、感動マーケをくさすつもりはないです。でも、「一部の変な客」をそこに含めるのは別の話。
やり過ぎると既存のお客様にとって不快な結果になることが多いからです。
笑顔で満足して帰っていただける既存のお客様と、毒をまき散らしながらストレスを与えてくるお客様、前者の方が100倍大事です。
ブランドを作るのはある意味でお客様でもあるので、既存のお客様を守ることは、ブランドを守ることと同義です。

また、経営者はスタッフを守る義務があります
クレーマーの排除は正当な行為だし、リスクマネジメントです。

店側に明確な落ち度がないのであれば、クレーマーの入店拒否や出禁はできます。今回は法的根拠も含め「店が客を選ぶ権利」についてじっくり考察していきます。

お店とお客様の間にあるのは契約関係。契約は自由にできるのが原則

お客様は大事ですが、神様ではありません。
お店とお客様との間にあるのは自由意志に基づく契約関係に過ぎません

契約は当事者同士の自由な選択によって行われます。この原則を、「契約の自由」といいます。民主主義の国のほとんどがこの原則に則っています。日本の民法にもちゃんと書かれています。

契約の自由が認められないと、「買う気がないのに勝手に契約させられた」とか「契約内容に納得していないのに一方的な契約を押しつけられた」などが横行するので、経済活動に支障を来すからです。ここで政治的な話はしないですが、N国党が裁判してる争点もここですよね。

国民生活センターが「民法の考え方の基本」という資料でわかりやすく説明しています。
これによると、契約の自由には次の自由が含まれています。

⑴ 契約するかしないかを選択する自由
⑵ 契約の相手方を選択する自由
⑶ 契約内容の自由
⑷ 契約の様式の自由

入店拒否や出禁はオーナーの権限で行える

飲食店には「入店を許可してはいけない」や「入店を許可しなければいけない」などの法的な規制はありません。入店を許可するかどうかは店舗オーナーや責任者の裁量に任されているっていうことなんですよね。

格式の高いレストランがドレスコードを用いているように、店舗や場の雰囲気に応じたサービスを提供するために店側に認められている権利でもあるわけです。ドレスコードに沿わない服装で入店しようとするお客の入店を拒否することは、民法上認められています。

必要なら、悪質クレーマーや迷惑行為を行うお客様に対して「入店拒否」や「出禁」を伝えることは合法なんです。

ただし入店拒否できるのは「受注前」まで!

しかし、飲食店の場合はどの時点で追い出そうとするかで、入店拒否できるかどうかが変わってきます。
これは、契約が成立していたかどうかが問題になるためです。契約したのなら店はサービスを履行する義務があるし、客はお金を払う義務があります。

一般的には、飲食店は注文をとった時点で「店側は注文品を提供すること」「客はメニューに書かれた金額を支払うこと」を了承した、(=契約関係が成立した)と見なされます。

最初はおとなしかった客が注文後に「料理が出てくるのが遅い」とか、「店員の言葉遣いが気に入らない」などいちゃもんを付け始めたとします。しかし、既に契約が成立しているので店は料理を出さなければいけません(法的には)。
「気に入らなきゃ帰れ!」で帰ってくれる人もいると思うし、それがために客から訴えられるということも稀だと思いますが、あくまでも法的根拠が微妙ということです。

つまり入店拒否できるのは「受注前」まで
ほとんどのクレーマーは最初はおとなしくてだんだんヒートアップしてくるので、これでは意味ないと思うかもしれませんが、しっかり顔を覚えましょう。
次回から入店拒否すればいいのです。

入店拒否する理由が差別的なものの場合は認められない

お店は客を自由に選んで入店拒否できるとはいえ、その理由が差別的なものの場合は人権侵害なので、店側が別の法律に抵触します。訴えられたら負ける可能性があります。
たとえば、人種、国籍、性別、性的嗜好、身体的特徴を理由に入店拒否するなどです。

サービス提供できない正当な理由、他のお客様へのサービスの妨げになる正当な理由があれば、お断りしても人権侵害にはあたりません。
たとえば、女性専用エステは他のお客様へのサービス(男性の目がない空間でエステを提供すること)ができなくなることを理由に、男性客を拒否できます。
階段だらけの店は車椅子のお客様に対して、入店が困難であること、手助けするスタッフがいないことを理由にお断りすることができます。

入店拒否や出禁はあくまでも既存顧客や店のブランドを守るための手段なので、こういった場合は丁寧な対応が求められますね。

以上、熱血野郎でした~。

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